味付けの魔法~味覚の相互作用~
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こんにちは!シェフです。
料理の味を感じる「味覚」には、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5種類があります。
そして、この5種類には、相互に作用するという性質があります。
例えば、
・スイカに塩を振ると甘くなる
・コーヒーに砂糖を入れると飲みやすくなる
・ラーメンに酢を入れるとまろやかになる
などです。
どの味覚をどう組み合わせたら、どんな効果があるのか。今回は、3つの「味覚の相互作用」についてのお話です。
1.対比効果
スイカに塩を振ると甘くなる。小さい頃おばあちゃんの家でよくやっていました。
…実際にはスイカの甘さが増したわけではなく、塩の持つ塩味によって甘味が引き立たされ、より甘さを強く感じているのです。
このように、〔異なる2種類の味を混ぜた時に、一方を強める効果〕のことを、対比効果と言います。
例
甘味+塩味←塩キャラメル、おしるこなど
旨味+塩味←みそ汁、昆布茶など
甘味+酸味←苺大福、ショートケーキなど
苦味+酸味←フルーツカクテル(アルコール)など
参考レシピ
甘味+塩味…南瓜サラダ
旨味+塩味…具だくさん生姜入り味噌汁、水茄子の浅漬け
有塩バターなどもこの効果を利用した食品ですね。
対比効果には〔同時対比〕と〔経時対比〕の2つがあり、甘さの後で酸味が強調されるショートケーキなどは経時対比となります。
余談ですが…食事の後のデザートは別腹♥な私を含む皆様。
食事で脂っこいモノや塩分をたくさん摂取すると、甘い物がとても美味しく感じますよね。あの時も、経時対比効果が作用していると考えられます。
まとめ
・減糖、減塩には対比効果を使おう
・最近のスイカは品種改良で甘いので塩は必要ない事が多い
・別腹は存在しない
2.抑制効果
ブラックコーヒーは苦手だけど、砂糖とミルクを入れたのは好き。
そんな方も多いのではないでしょうか?私もそうです。コーヒーの苦味を、甘味が抑えて飲みやすくなっているんですね。
このように、〔異なる2種類の味を混ぜた時に、一方を弱める効果〕のことを、抑制効果と言います。
例
苦味+甘味←コーヒーに砂糖、ビターチョコレートなど
塩味+酸味←梅干、漬物、ラーメンにお酢など
酸味+塩味・甘味←すし酢、はちみつレモンなど
塩味+旨味←しょうゆ、塩辛、日本酒の肴など
参考レシピ
苦味+甘味…うどの酢味噌和え
塩味+酸味…セロリと胡瓜の浅漬け
酸味+塩味・甘味…キャベツの酢橘和え
古来より、日本では特にこの効果がたくさん使われています。
「いい塩梅」などは正に抑制効果を表す言葉ですね。ただし、まろやかに感じても塩分が減ったわけではないので、塩分過多には注意しましょう。
まとめ
・苦手な食材も抑制効果を駆使して食べやすく味付けしよう
・ラーメン屋でいきなりお酢をかけるのはやめましょう
・筆者はかなりの甘党(笑)
3.相乗効果
一般的に一番使われている和風出汁と言えば、昆布と鰹節から取る合わせ出汁です。
それは何故か?
一番美味しいからです!
昆布の持つ旨味成分グルタミン酸ナトリウムと、鰹節の持つ旨味成分イノシン酸ナトリウムがお互いに作用し、旨味を何倍にも感じさせてくれるのです。
このように、〔同系統の味を2種類以上混ぜた時に、より一層その味が強調される効果〕のことを、相乗効果と言います。
例
旨味+旨味←合わせ出汁、味の素など
甘味+甘味←砂糖と蜂蜜、コンデンスミルクなど
参考レシピ
ちなみに醤油にも、多くのグルタミン酸が含まれています。おにぎりの具として不動の人気を誇る『おかか』は、相乗効果の具現化と言えるでしょう。
まとめ
・グルタミン+イノシンで、旨味は通常の7倍!
・旨味は海外でも「umami」と言う
いかがでしたか?これらの作用を上手に使うことで、減塩やカロリー軽減はもちろん、コスト削減にも利用できます。
しかも美味しい!ぜひ試してみてくださいね☆
この他にも、するめやたらこを食べた後にみかんを食べると苦味を感じる変調効果など、特殊な効果もあるのですが…それはまた別の機会に。
ではまた!